はしがき

山ねずみが子供が小さいときに読んでおきたかった本があります。『アメリカインディアンの教え』です。

 私は、さまざまな人間関係の中で、親子関係は特に大切なものと考えています。それは、親子関係が、すべての人間関係のスタートになるからです。
「幼年時代が楽しいものであれば、その残照は一生涯消えないものであるし、その逆の場合は、苦い不快感が生涯を通じて後をひくものである」とヒルティー(モラリスト)は言っています。
  私は仕事場を網代の山腹に持っていますが、その近所に犬がすみついています。ある日、彼女(めす犬でした)は4匹の子犬を産みました。もともと彼女は、私を恐れてはいませんでしたが、私が子犬を抱いても平気でいるのには、正直驚きました。
  彼女が私の仕事場に来ると、いつもパンをあげることにしているのですが、子犬を産んでからというもの、全部のパンを子犬のところへ持っていくのです。自分はガリガリにやせているのに、乳を与えたうえにパンを持っていくのです。それほど愛している子犬なのに、その子犬を抱こうとする見知らぬ人間に対して警戒しないのです。
 彼女は、幼い頃から可愛がられて育った犬なのでしょう。野良犬には、いつもビクビクしているものもいます。そんな犬たちと彼女はどこか違うのでしょうか。それは、幼い頃の周囲の愛の違いなのです。

『アメリカインディアンの教え』(加藤諦三著・扶桑社)